韓国人は何事につけても、明確な格差を設けることが好きだ。
それをまざまざと見せつけてくれるのが社内屋内の部屋のスペースだ。
例えば、従業員10人ほどの専門商社を尋ねると、
狭い事務室で隣の人と肘や肩が触れ合うような寿司詰め状態で仕事をしている。
「これでは能率も上がるまい」と思う。
ところが社長室に通されると、これが隣の事務室よりはるかに広く、
そこに社長1人が悠然と座っているのだ。
日本人なら誰でも、広い部屋の方を事務室に充て、狭い部屋を社長室にするだろう。
だが、韓国人にそういう発想は無いようだ。
これは、町工場でも同じだ。
「もう少し広ければ法効率がずっと良くなるだろうに」と、素人でも思うのだが、
機械や材料の1部をどこかに移して作業現場を広くするような事は無い。
そして広々とした社長室で挨拶を交わしていると、どこに控えていたのか、
美人の秘書がコーヒーを持って現れるのだ。
東京の蒲田や立石あたりの町工場を取材のため尋ねると、
もとから狭い社長室に加工前の材料が山積みになっていたり、検査機器が置いてあったりする。
社長も従業員と同じユニホームを着ている。
社長自ら古びた冷蔵庫からペットボトルを取り出してきて、名刺を交換しつつ一緒に飲む…これは、
韓国ではどんな零細企業でも考えられない光景だ。
日本の大手商社の社長室に1度だけ入ったことがある。
「大手商社の社長室は、こんなに広いのか」と驚いたが、
1984年、インタビューのため訪問した現代財閥の鄭周永会長の執務室は、
その何倍も広く、幼稚園の運動会ができそうだった。
(※現代財閥は、鄭周永氏の死後、現代自動車、現代重工業、現代エレベーターの3財閥と、
現代百貨店などに分裂した)職位による社屋内での専有面積の違い…
こんな話は、韓国の新聞をいくら読んでも出てこない。
韓国人にとっては、職位が上の人が、人口密度の全然違うスペースを占有するのは
当たり前のことなのだ。
したがって、話題欄のうめぐさにもならない。
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