米中貿易戦争で人民元はどうなるかというお話をさせています。
いわゆる中国共産党がレートをコントロールしています。
これがこれまでできたのは、中国が輸出で稼いだドル外貨に合わせて
新たに人民元を増刷してきたドルと人民元のレートがほぼ一致していたからなんですね。
それに対してコロナ以降、中国は。
輸出で稼いだドルと発行する人民元の量乖離が激しくなっております。
現在、輸出で稼いだドルと新たに発行する人民元の量が一致していない。
なのに、人民元を高いレートで維持している。
このために人民元の外貨の枯渇が起きるのではないかという心配があるわけです。
そのような状況の中で、今回、米中関税問題が起きました。
アメリカは中国に対して145%という相互関税をかけています。
これは事実上の金融処置に近いものです。
中国国内を100円で出たものアメリカの税関を通過した瞬間、145円の税金がかかってしまう。
100円に対して145円、つまり原価が245円になってしまう。
このような状況で貿易はできません。
通関時に関税を払わなくてはいけない輸入企業が輸入しなくなっているわけです。
このため、コンテナが中国とアメリカの双方の港で溜まっている状態、
出荷ができない状況になっています。
このような状況の中で。
中国は外貨を大きく失うことになるでしょう。
これまで稼いでいたような外貨の獲得ができない。
その一方で、米中貿易戦争によって景気悪化が進みます。
これを緩和するためには、現在、中国は融和的政策、量的緩和を行って通貨を増刷している状態にある。
外貨は手に入らない。通貨は増刷する。
通常であれば暴落するわけです。
しかし、変動相場ではなく、管理変動相場で無理やり高値を維持している状況である。
このような状況では、どんどんどんどん中国が持つ外貨が失われていくことになる。
実際問題として、中国はアメリカ国債を現在売っていると言われています。
よく経済評論家や様々な専門家と言われる人たちの中に。
中国がアメリカ国債を売るぞと脅すことで、アメリカが言うなりになるだろうなどという人がいますが、
これは大きな間違いです。
IE PA法緊急経済権限法という法律によって、アメリカ国債というのは
すべて財務省がデジタルデータ上で登録しているだけですから、ボタン一つで抹消できてしまう。
大量の売りがあった場合、その売買を凍結、そして抹消することができる。
最悪、中国が持つドルの裏付けを失わせることができてしまうわけです。
なぜ人民元で皆さん売買ができるかといえば、中国が持つ外貨があるからで、
その外貨の中心というのはやはりアメリカドルなんです。
この構造の中でドルが失われていけば、人民元の数が減価していく。
しかし、今も高値レートを維持している。
なぜそのようなことをするかといえば、中国の企業などが借り入れている外貨建て借り入れが多く、
外貨建ての国債発行ができなくなってしまう。
人民元が下がるとできなくなってしまうからだという構造なんです。
ただし、中国には一つ。
隠れた外貨準備というのがあります。
他の国も通貨外貨準備と違うのは、中国の場合、中国の国有銀行人民銀行である中央銀行ではなくて、
中央銀行である人民銀行ではなくて、国有銀行が持つ外貨、これも外貨準備に含まれています。
中国企業は海外で稼いだドルをという銀行に入れ、そして国内で、
人民元で下ろすドルで、国内で下ろせない構造になっています。
このために国有銀行保有分のドルが外貨準備に含まれている。
それ以外にも、中国企業が海外に移した場合によったら、売却命令等によってドルに変えることができる。
または、場合によっては中国人が海外に持つ資産、これを一定の条件で
国内に戻させるように命じることもできてしまうわけです。
このような資産がどの程度あるのか、いまだ今はわかりません。
しかし、保護としてアメリカ型の属人主義税制というものをとることができます。
税金には日本やヨーロッパなどが採用している。
住んでいる土地で払う。
そして、アメリカが採用している属人主義2種類の体系があります。
アメリカ人は世界中どこに住んでいても、その地元で払った税金とアメリカで払うべき税金、
この差額を納税しなくてはならないとされている。
また、国籍離脱をする場合には、すべての資産をキャピタルゲイン課税買った時に。
現在の評価との差額を税金で払って、そして国政的離脱ができる仕組みになっている。
中国もこの制度を採用すれば、海外にいる中国人から税金を取ることもできる。
そうなれば、大量の外貨を手に入れることもできるわけです。
これは中国の内政問題、税金の問題ですから、簡単にできます。
また、非居住者向けの税率を引き上げることによって、外国に持っている中国資産を売却させ、
そして国内に戻させるというようなこともできる。
何でもできてしまうのが、ある意味、中国の怖いところであり、すごいところなのかもしれません。
どちらにしろ、このままいけば中国の外貨はどんどん枯渇することになります。
アメリカと中国の我慢くらべがどこで終わるのでしょうか。